船で世界一周旅行と聞くと、きっと多くの方が優雅でリッチな旅をイメージされるかと思います。しかし、今回2週にわたってご紹介する「ピースボートこどもの家」は、ちょっとそのイメージとは違うかもしれません。

多くの人に出会え、異国文化を学べ、世界平和を考えることができる、そんな国際交流の場を洋上で体験でき、さらに小さな子どもも楽しめ、親子で学ぶことのできる船旅です。

■地球を感じ、世界の”今”を知ることのできる船旅。


約3カ月かけて、20カ国をめぐる「ピースボート」の船旅。

ありのままの地球を肌で感じながら、世界中の人々と交流を重ね、また洋上では様々な学びの機会を得ることができる、いわば船の上の学校のような旅です。

乗船するのは小さな子どもから60代以上の大人までと、幅広い世代との出会いがあります。船の上では様々な分野の専門家による講座やイベント、乗船客同士が作り上げる講座などが催され、毎日が学びの連続です。

また寄港地では、通常の海外旅行では体験し得ない現地の人々との交流や、難民キャンプへの訪問、先住民の村にホームステイなどのプログラムが設けられています。

世界の現状を知ることで、今自分に何ができるのか、何をすべきなのかということを再考できるのも、この船旅の醍醐味かもしれません。

■洋上でモンテッソーリ教育を。


4年前の春、小さな子どもにもありのままの世界を体験してほしい、子連れでも地球一周を楽しめるようにと、モンテッソーリ教育を取り入れた「ピースボート子どもの家」プログラムが始まりました。

世界を旅する船の上でモンテッソーリ教育を受けられるなんて、素敵だと思いませんか?

モンテッソーリ教育とは、20世紀初頭にイタリアの医師、マリア・モンテッソーリ氏により考案された教育法です。この教育法の特徴は「子どもの命が育つ手伝いをする」こと。

子どもをよく観察し、子どもの発達の法則に基づいて、その時々に必要な環境を大人が整えます。すると子どもたちは自発的に行動し、試行錯誤しながらそれぞれのペースで成長していきます。

モンテッソーリ教育は、体験することからすべてを学ぶことを重視した教育です。「ピースボート子どもの家」の発起人であり現代表、二児の母でもある小野寺愛さんに、モンテッソーリ教育のこと、そして、子どもと世界を旅する素晴らしさなど、お話を伺いました。

■先入観や固定概念のない幼児期にこそ、真の国際交流を!


子どものためになる教育とはどんなものでしょう。親にできることってなんでしょう。

親であれば誰もがその答えを知りたいですよね。もちろん子育てに明確な答えはありません。けれども、子どもの心に寄り添い、見守り、発達に応じた環境を整え、必要であれば手を貸す。そうすることで子どもは素晴らしい力を発揮し、自ら成長するはずなのです。

「子どもたちは、素晴らしい存在です。世界中、どの国に生まれても、子どもはあるタイミングがくれば寝返りをしようとします。ハイハイをして、伝い歩きをして、いずれ二本の足で歩きだします。それを習得する過程で『あー、僕にはできないかも』『難しそうだからやめようかな』なんて言う子は誰もいません(笑)。
自分には絶対にできると信じて、懸命に努力して、失敗しながらも少しずつやり遂げていく。子ども(人間)が生まれながらに持っている力は、想像する以上にすごいものです。その力を邪魔されずに育つひとが増えたら、世界はそのまま平和になるのではないか。そう考えていた頃に出会ったのが、モンテッソーリ教育でした」

「モンテッソーリ教育から私が学んだこと。それは、大人と子どもはまったく異なる学びかたをする存在であることです。大人は体験したものを記憶に残すけれど、6歳までの子どもはすべての体験を自分の一部にします。『やさしくしなさい』と言われてもわからないけれど、優しい人に囲まれて育てば、自然と思いやりのある人になる。『お行儀よくね』と言われても身につかないけれど、ドアを足で閉めたりする大人の行動はよく見ていて、そのまま真似したりする。笑
6歳までにどのような環境で育つか、どんな体験をするかが、そのままその人間の土台を作ります。幼児期というのは、建物でえば基礎を作っている時期。しっかりとした基礎がなければ、どんなに素敵な建物でもすぐに壊れてしまうかもしれません。人生をまるまる支える、いちばん大事な部分を形づくっているのが、幼児期なのです。」

これは大変納得できるとともに、同時期の子どもをもつ親としては耳の痛いお話です。

「先入観や固定概念のない幼児期にこそ、どれだけ”本物の世界”に触れる機会を持つことができるかが、大切だと思います。リンゴなら、おやつ用に大人が切って準備したあとのものだけでなく、実際に木からもいで、香りをかいで、自分でもスパン!と切ってみる。『種があるね~』と体験する。そんな実体験が、その後の想像力の裾野を広げます。」

「 “世界”についても同じです。できれば、テレビやインターネットで出会う前に、本物を実体験したい。ピースボートに乗船した子どもたちに、どの国が楽しかった?と聞くと、不思議と多くの子どもが中東をあげます。大人たちに中東のイメージを聞くと、多くの場合メディアにかたちづくられていて、危ない、テロ、紛争・・・などのキーワードが連想されますが、子どもたちは違います。現地で出会った人たちのあたたかなハグや笑顔、時折聞こえてくるコーランの優しい調べ、おやつに頂いたデーツの甘い香りなどが印象に残っているようで、頼もしくなるんです」

子どもの持つ驚くべき力と、適応能力に、改めて感動します。

この能力を、いかにのばすか、邪魔しないか、ということが育てる側(=親や周りの大人)の責任なのですね。次週も引き続き、「ピースボート子どもの家」代表、小野寺愛さんのお話をお届け致します。次回は、「子どもの家」のエピソードも交えた”子どもにとって大切なこと”、および7月に出航する30周年記念クルーズの内容などをお話頂きます。

■横浜で船内見学会が開催されます!


「ピースボート」に興味をお持ちの方、もっと知りたいという方にお知らせです。2013年3月30日(土)横浜港大さん橋で、客船オーシャンドリーム号を実際に見学することができるそうです。当日、船内では様々なイベントが企画されており、「ピースボート流・船内生活」をプチ体験できます。また、今回ご紹介した「ピースボート子どもの家」関連のイベントも開催されるので、お子さま連れの方も楽しめます。どちらも事前予約が必要となりますので、ご興味のある方はお早めにお申し込み下さいね。

客船オーシャンドリーム号 船内見学会

日時:2013年3月30日(土) 10:00~16:00
受付場所:横浜港大さん橋国際客船ターミナル
アクセス:みなとみらい線「日本大通り駅」徒歩10分