当ページ「横浜の女性のためのWEBマガジンHaMaWo」の【HaMaWo】とは、「Yokohama Woman」の略です。この企画では、HaMaWo編集部が考えるHaMaWo像というべき女性にインタビュー。その女性にクローズアップして人物像に迫ります。

−−−−−−−−−−−−−−−−

これからの日本社会を支える女性企業家の方々(これから起業したい方も含め)を対象に開催された「横浜ウーマンビジネスフェスタ2014」。

女子企業家によるブース出展などをはじめ、交流会や特別講演会など様々なイベントが催されるなか、「CHEER!」と呼ばれる女性企業家によるプレゼンテーションに注目が集まりました。事前審査で選ばれた9人の企業家がステージ上で、新たな事業計画をプレゼン。想像力豊かなアイデアと女性ならではの視点に裏打ちされた、新たなビジネスモデルやサービス内容とは?

今回はそのうちの1人、株式会社ライズサーチの代表取締役である内田奈津子さんに、現行の事業をはじめ、プレゼンで語った今後立ち上げる予定の「ジュニア企業スクール(※「みらいこ塾」に変更)」についてお話を伺いました。

———————————————————————————————————————-

かつてはオペラ歌手を目指し、イタリア留学の経験もお持ちの内田奈津子さん。帰国後、オペラ歌手の活動と並行して始めた「WEBサイト制作」が株式会社ライズサーチ立ち上げのきっかけとなったそう。そして、今は新たなビジネス「みらいこ塾」のスタートに向けて、様々な施策を練っている最中なのだとか。

●趣味で始めたサイトが事業立ち上げのきっかけ

DSC07010
そもそも、なぜ、オペラ歌手からWEBサイト制作に? まずはその経緯を伺ってみました。

「元々はミュージカル女優になりたかったんです。そのため、高校卒業後はミュージカルの専門学校へ。でも専門学校を卒業したからといって、ミュージカルの就職先があるわけでもなく…。どうしよう? と思いながら過ごしていた時、歌の先生から『声がいいからイタリアに行ってオペラをやってみたらどう?』と勧められました。そこでやってみようと決意し、24歳の時にイタリアへ。そこで2年間勉強をする傍ら、空いた時間を使って始めたのがWEBサイト作りです。」

それは独学で?

「はい。イタリアの生活や現地情報を日本人向けにWEBサイトで発信するという内容だったのですが、これがなかなかの反響で。当時まだブログもない、WEBサイトも出始めの頃だったので、情報が貴重だったんでしょうね。今と比べて、サイト情報の信頼性も高く、発信側と見る側の交流もあったり、わりとWEBがリアルに近い存在だったと思います。一方、イタリアでのオペラ活動は、自分の才能の限界を感じて、帰国を決断します。日本に帰ってからは、そのサイトを見てくださった方から、WEBサイトの制作依頼がくるようになり…という感じです。」

なるほど。それで帰国後は、オペラの活動とWEBサイト制作の2足の草鞋でお仕事をされていたわけですよね。今はご自身のオペラ歌手としての活動はされていないとのことですが、事業立ち上げのきっかけとなったWEBサイト制作へと完全にシフトしたのはどんな理由からですか?

「オペラの舞台で大失敗をしたからなんです(苦笑)。ピアノの伴奏と大外れな歌を歌ってしまって。周囲に迷惑をかけたのはもちろん、自分のプロ意識のなさにもショックを受けて。というのも当時、サイト制作の依頼が増えてきていて、その仕事に毎日追われていました。だから、歌の練習があまり出来ないまま本番を迎えて起きた失敗だったからです。その失敗を通して、どっちつかずなやり方をしていてはダメだとも思いました。そこで歌は辞めて、サイト制作だけに力を入れることに決めたんです。」

●自身の経験から発想を得た「演奏会のチラシ屋さん」がヒット!

DSC07026
その後、WEBサイト制作の依頼が順調に増え、人を雇うなど、事業拡大の余地も見えてきた矢先に誕生したのが「演奏会のチラシ屋さん」。内田さんの経験を最大限に活かして、お客さんの心をがっちりと掴んだ、今の事業柱とも言えるビジネスとは。

「最初は正直あまり深く考えていませんでした。音楽が好きだし、何か演奏家のためにできることを…と思って『演奏会のチラシを作りますよ』とWEBサイトにアップしたのがきっかけなんです。すると、アップしてすぐに注文がきて。その後コンスタントに依頼が来て、どんどん増えていったんです。その事業をアップしたのが、会社設立の数か月前のこと。2007年12月には株式会社ライズサーチを立ち上げ、WEBサイト制作と演奏会のチラシ屋さんの2軸でずっと事業を走らせてきました。」

「演奏会のチラシ屋さん」とは、具体的にどんなお仕事内容ですか?

「簡単に言えば、クラシック音楽に特化した演奏会のチラシ制作です。演奏活動にはチケット、チラシ、プログラムなどの印刷物が必ず必要なんです。今でこそ、個人ベースでチラシ制作を請け負う会社もたくさんありますが、当時は、街の印刷屋さんに持っていったりするなどの選択肢しかなくて。ところが、クラシック音楽って特殊というか専門的なので、内容を説明してもなかなか理解してもらえずに出来上がりが想像と違った、なんていう話も耳にしたりしていました。そこで、簡単にネット依頼できて、打ち合わせしながら、思い描くチラシができたらいいだろうな、と思ったんですよね。」

DSC07031
発想の豊かさと持ち前の行動力で“あったらいいな”を実現させた内田さん。「演奏会のチラシ屋さん」が今では事業の柱にもなるほど発展を遂げたのは、どうしてだと思いますか?

「まず一番は、事業参入が早かったからですよね。インターネットでチラシを作りますというサービスは他にあったものの、演奏会に特化したのはうちが走りだった。それに当時は、ネット依頼の金額も高くて。それを気楽にオーダーできる価格帯にまで落として提供したので、コンサート集客に悩む演奏家の方々のニーズにうまく合致したんだと思います。また、早く始めたからこそ、実績も他社より圧倒的に多く、信頼度につながっているんだと思います。」

「うちのコンセプトは『物語を語れるようなチラシ』。例えば、卒業の演奏会チラシの依頼を受けた際には、相手のデザイン要望に加え、これから社会に羽ばたくという意味を込めて蝶のデザインをプラスしました。するとお客さんが受け取った時に「自分のために作ってくれた」という風に感じるのと、チラシを配る時に「こういう風にデザインしてもらったんだ」と言えますよね。卒業に関する想いが、物語を添えてあげることで、より相手に伝わりやすくなる、そういうことを売りにしています。そうした部分もお客様に評価していただけている部分かな、と。」

「そして何と言っても、チラシ制作をしつつ、実際に演奏会を開催している点は他社にはない強みです。自分たちもコンサートを開催するので、集客の大変さをよく理解しているつもりです。過去に開催したコンサートでは、チケットがさばけずに大赤字を出した経験も。その時に得たのは『質の高い内容でも成功するわけではない』という教訓。この失敗を強みに変え、「どう成功するかを真剣に考えているチラシ屋さん」というプロモーションに変更しました。転んでもタダでは起きないぞ(笑)と。」

子どもの将来を考えて生まれたのが「みらいこ塾」

10418163_645403915565093_408362499192280754_n
失敗を強みに変え、競合他社から一歩抜き出た存在となり、今では受注の絶えない「演奏会のチラシ屋さん」。今はこちらをメインに事業を展開。さらに、出産・子育てのなかでインスピレーションを得た、新ビジネス「みらいこ塾」。その事業内容とは?

「高齢出産をして初めて気づきました。20代で子どもを生んだ方と自分とでは、子どもと一緒にいられる時間に大きな差があることを。その違いに気付いた時、息子が成長した時に困らない教育をしてあげたい、と思ったんですよね。会社を立ち上げ、少なからず自分の力で稼ぐ力を身に着けてきたので、そういう感覚を息子にも持たせてあげたいな、と。それに多くの子がそういう感覚を持つことが出来れば、ステキな未来に繋がるんじゃないかって。それが、この「みらいこ塾」を発想したそもそものきっかけです。」

具体的に「みらいこ塾」とはどんな内容ですか?

「ビジネススキルを磨くワークを織り交ぜたレッスン形式のスクールを予定しています。昨年、お菓子の仕入れから販売までのプロセスを体験してもらうプレイベントを開催しました。終わった後、参加者のお子さんから「お金が少しずつ増えていくのが嬉しかった。」「来てよかった」という意見をいただいて、これはイケるな、と確信を得た部分もあります。」

mediaimage01
実際にどんなスクール内容にするか決めてらっしゃいますか?

「大枠は決めています。月4回のレッスンで、2回は先程お話したビジネススキルワーク。例えば、10円の飴を20円で売るためにはどうしたらいいか、みんなで話し合ったり、商品開発的なことをしたり…。
そして1回は、色々な職業のプロに話を聞く時間。野球選手やケーキ屋さんだけじゃなくて、世の中には色々な職業があることを知ってもらいたくて。また、プロフェッショナルな方たちの仕事に対する前向きで、手を抜かない考え方に触れてもらうのもいい刺激になると考えています。そしてもう1回は、半年ごとに“店をオープンしよう”、“ビジネスプランに応募してみよう”などテーマを決めて、チームで取り組む時間。この全4回の授業内容を想定しています。」

面白そうな内容ですね。楽しく社会の仕組みを学べる、そんなイメージを受けました。

「教え込もうというわけではなく、授業のなかで色々なものを見せるから、自分でぐっとくるものを何かしら見つけて帰ってね、というイメージです。色々な人に出会って、話を聞いて、考えることって楽しいな、と思ってくれればいいですね。まず春には、この場所でモニターで始めてみて、子どもたちの反応を見つつ、ワークを増やしたり、カリキュラムに改善を加えたりして、完成に近いかたちに持っていければと。ゆくゆくは横浜北の方に常設スクールを出しせればなとも思っています。」

では今後、「みらいこ塾」が新たな事業柱に加わる可能性もあるということですね。

「そうなるようにしていきたいですね。ただ個人的には、「みらいこ塾」は成長するまでに時間がかかるビジネスだと思っています。WEBサイトの普及でサイト制作事業を縮小したように、チラシ制作もIT化が進み、事業が伸び悩むことも今後あるかもしれません。それらを想定し、補完する事業を見つけていこうという意識は常にあります。」

DSC07011

●メッセージ

最後に、今後企業したいと考えている人に何かアドバイスやメッセージはありますか?

「“信念を持つこと”です。ぶれない信念=軸を持って人の話を聞くことが大切です。信念がないまま人の話を聞くと、あっこっちぶれますし、だからと言って全く人の話を聞かない人も失敗しますよね。そのバランスがとても難しい。でも信念があったうえで聞く話はとても価値があると思いますよ。」

内田 奈津子(うちだ なつこ)

20代前半にオペラ歌手を目指して、イタリアへ留学。2年間、ミラノで声楽とイタリア後を学んだ後、帰国後、声楽を続けながら、フリーランスでWEBデザイン、WEBサイト制作の仕事を開始。2007年12月に株式会社ライズサーチを設立。横浜の中小企業のWEBサイト制作を行う傍ら、クラシック音楽に特化した「演奏会のチラシ屋さん」を立ち上げる。これまでに、手がけたチラシやプログラムは2000件以上。現在は、新たなビジネス「みらいこ塾」の立ち上げのためのために奔走中。今年中にはスタートが予定されている。また1児の母でもある。

株式会社ライズサーチ

横浜市港南区日野2-10-5